オープン就労に必要な体調管理とは
就職後の「長期的な安定就業」は障害者の方々にとって大切な目標だと思います。
そして、安定就業を実現するために「体調管理」は大変重要なポイントです。

ただ、この体調管理について少し認識が異なっているように感じていますので、体調管理のポイントについてお伝え出来ればと思います。
「業務に支障が出ていない状態」であればOK
安定就業を目指す上で体調管理が出来ている状態とは「業務に支障が出ていない」状態です。
例えば、9:00~17:00の週5日勤務の契約なら、その就業時間の中で業務に支障が出ていない状態ということです。
逆に、「業務に支障がある」とは、保有している有給休暇日数を超えて欠勤が生じてしまったり、出勤しているけど頭がボーとして仕事が手に付かないような状況です。

障害者の方にご理解いただきたい点として「体調管理が出来ている=業務に支障が出ていない」という状態ですので、「体調管理が出来ている=体調が完璧」というわけではないということです。
何の症状も出ていない状態を目指すのは、障害者・健常者問わず、なかなか難しいことで、どんな人でも何らかの体調不良を抱えていることが多いです。
※朝は吐き気がする、腰痛がある、休み明けは憂鬱…など
そして、「業務に支障が出ていない」という状態を作り出すために服薬することに後ろめたいような気持ちを持たれている障害者もいますが、そのような心配はしなくて大丈夫です。

「業務に支障が出ていない状態」を作り出すために服薬をしたり、保有分の有給休暇を取得することはOKですし、朝に吐き気があったり胃痛があっても、業務に支障がないなら、問題ないです。
服薬を後ろめたく思う必要はない
睡眠薬を飲まないと入眠出来ないという症状のあるうつ病の方が睡眠薬を服用していることについて、少し後ろめたそうに話されるケースがありますが、全く気にする必要がないです。

睡眠薬を服用することで睡眠が取れて疲労が回復し、翌日の出勤に問題がないのであれば、それは服薬管理という自助努力により、きちんと体調管理が出来ているということです。
腰痛の社員が痛みに応じてコルセットを巻いたりシップを貼って対応したりしますが、その結果、業務に支障がなければ会社としては全く問題ないわけです。

ご本人は辛いでしょうけどね…
仕事のストレスで休み明けに吐き気がする社員が市販の胃薬で吐き気を緩和して問題なく業務に取り組んでいるなら全く責められる筋合いはありません。

だって、業務に支障が出ていないわけですから。迷惑かけてませんからね。
しかしながら、障害者の方の中には服薬していること自体が問題だと考えていたり、体調にどこか優れないところがあるとダメだと感じられている方がいます。
体調は完璧にしなくて大丈夫
少なくとも仕事をする上で大切なのは「(服薬などの対処もせずに)完璧な体調の状態を目指すこと」ではなく、業務に支障が出ない程度に体調を管理することです。

ここの目標設定を間違えると、すごくしんどいです。
完璧な人間がいないのと同様、体調を完璧にするなんて目標は一生持つ必要はないと私は考えています。
業務に支障が出ないようにするためなら、服薬してもOK、家族に相談してもOK、有給休暇を取得してもOK、1時間に1回お手洗いに行って休憩してもOK、サプリメントを飲んでもOK、休日に運動したり食事に気を付けて体調管理することもOKなわけです。

頼っても問題ないものなら、ドンドン活用して「業務に支障がない状態」を作り出していきましょう。
オープン就労で大切なことは…

オープン就労で必要なことは、自分の障害名が何で、症状が何で、自助努力は何をしているか、そして、企業に求める配慮事項は何かを伝えられることです。
障害名が「うつ病」で、症状は「気分の落ち込み」で、自助努力は「朝散歩と主治医から処方された抗うつ剤を服薬すること」で、企業に求める配慮事項は「高圧的な指導はやめてほしい」であれば、それをきちんと説明出来れば良いんです。

私はこのサプリを飲むと調子が良いんだよ
と同じ感覚で

私は抗うつ剤の〇〇を服薬すると調子が良いんだよ
という感覚で大丈夫で

すみません、抗うつ剤を服薬してしまっています…
という後ろめたさは持つ必要はありません。
障害をオープンにして就業されるのであれば、服薬管理を含めた自助努力についても堂々とお伝えして問題ありませんし、必要に応じて主治医と相談して服薬管理をして体調管理できる社員の方が安心です。
焦って無理に薬を減らそうとする必要もありません。

必要な薬は飲んで良いのです。
体調管理は業務に支障が出ていなければ合格
服薬管理や運動など自身の身体を整えて「業務に支障が出ていない状態」であれば体調管理は合格です。
服薬管理含め、自分の体調を整えるためのリフレッシュ方法をドンドン見つけ出して肯定的な気持ちで試していきましょうね。
オープン就労する上で知っておきたい「自律神経の乱れ」とは

障害者の方の体調管理の難しさに「自律神経の乱れ」があると考えています。
「自律神経」とは
交感神経系と副交感神経系の2つの神経系で構成されている。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より抜粋
随意神経系である体性神経系と対照して、不随意である「自律神経系」は循環、呼吸、消化、発汗・体温調節、内分泌機能、生殖機能、および代謝のような不随意な機能を制御する。
とある通り、内臓などは不随意神経で動いているため自分の意志で動かすことは出来ません。

手足のように随意神経で動く筋肉は自分の意志で自由に動かすことが出来ますが、内臓の場合、意識して「心臓を速く動かす」といったコントロールは出来ません。
(全速力でダッシュすれば、息が上がって心臓バクバクさせることは出来ますが…)
不随意神経で動いているため、胃や腸、心臓など体調面に関わる重要な機能について自分の意志ではコントロールできないということです。
このことが安定した体調管理を行うことを難しくしている要因だと考えています。
身体の大切な機能を司る内臓は自分でコントロールが出来ない
身体の大切な機能を担う内臓は自分の意志でコントロールは出来ない一方、「ストレス」を受けた時には機能面で支障が生じるなど「変調」が表れます。
手足などと違い本人が眠っている時も含め24時間勝手に動いてくれていますが、ストレスなどの影響を受けて(意識していなくても)動きがにぶってしまいますので管理が難しいです。

手足の筋肉と違って自分の意志で「疲れていても気合で頑張って動かす」等のコントロールが出来ません…
ストレスで自分の身体にどんな不調が出るか理解する
ストレスに伴う影響も個人差がありますので、自分がどんなところに不調が出やすいのか理解しておくことが非常に大切です。
例えば、自分はストレスを受けた時に「呼吸が乱れる」「吐き気がする」「下痢になる」「汗をかきやすい」など不随意神経が乱れた時の症状について把握しておくことが大変重要だと言えます。
自律神経失調症とは?

自律神経と言えば「自律神経失調症」という病名をお聞きになられたことがあると思います。
自律神経失調症には下記のような症状があります。
動悸(どきどき、心臓が激しく速く鼓動する)/血圧が激しく上下する、立ち眩み(顔が蒼ざめて意識が遠のくなど)/朝起きられない(神経調節失神)、口が乾く(ドライマウス)/つば(固唾)を飲む/空気嚥下症/吐き気/胃痛(大事な用があると胃が痛くなる)/腹痛(大事な用があるとおなかが緩くなる)/胃もたれ/下痢/便秘(過敏性腸症候群)、頻尿(大事な用の前に尿意を催す)/排尿困難(トイレで後ろに立たれると排尿できない)、発汗(手が汗ばむ)/目が乾く(ドライアイ)/赤面・ほてり・のぼせ/冷感(背筋が凍る)などの自律神経症状を呈する(出現の仕方が、自律神経不全のそれと異なる)。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ストレスで自律神経が乱れると自分の身体のどこの部分にどんな変調が表れやすいかを把握することが大切です。
胃に出やすい⇒吐き気がして食欲が無くなる
腸に出やすい⇒緊張すると下痢になる
などですね。
自律神経には「交感神経」と「副交感神経」がある
自律神経は、交感神経と副交感神経があり、例えば仕事がある日は交感神経が優位になり、休日は副交感神経が優位になったりします。
この交感神経と副交感神経の切り替えのバランスが悪くなると様々な影響を受けますので、例えば、休日が終わり明日から仕事だと考えると気持ちが憂鬱になったり、心理面でのストレスが自身の内臓に影響を与えて症状が出ます。
ストレスを受けないようにコントロールすることは難しいと思いますが、ストレスを受けた際に自身の身体にどんな影響が出るかを把握することで予防策を練ることが出来ます。

例えば、ストレスが胃に影響が出やすいと理解していれば、休日の終わりに胃薬を飲んで翌日の吐き気(自律神経の乱れによる不調)に備えることが出来ますね。
自身がストレスを溜めている時に「身体のどの部分に影響が出やすいか」を理解し、「症状に応じた対処策」を取れている方は思いのほか多くはない印象です。
自律神経の不調に伴う体調悪化を放っておくと、体調不良が精神的な不調をより悪化させるなどの悪循環に陥る恐れもありますので
✓自身がストレスを受けた際にどういった症状が出るのか?
✓どういった対応方法があるのか?
上記について日頃からきちんと理解し、ストレスが溜まった際に速やかに対応出来ることが安定就業のための重要ポイント
だと考えています。

障害者の方にもお伝えしていますが、体調管理については主治医の先生に相談することが第一優先です。
「自律神経 整える」などweb検索して知識を深めることも大切ですが、体調不良になってしまった時は主治医の先生に相談するようにしてくださいね。
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