障害者のための面接対策|業界のプロが面接対策のポイントを伝授!
障害者雇用業界がもっともっと良くなることを願って活動している「もぐ(@yotchanchi)」だよ!この記事では企業の担当者として面接官を務めた経験や多数の面接アドバイスを実践してきた実績から障害者雇用の面接対策について解説するよ!
- なぜ障害者採用において面接をするのか
- 障害者採用の面接官(人事担当)も出世を気にする一人の人間
- 障害者採用の面接官が抱く不安とは?
- 障害者採用の面接の場合、質問を待っていたらダメ?
- 障害者雇用枠の面接で「配慮事項はありません」と答えると見送りになります
- 障害者雇用枠の面接は「障害理解の高さ」がポイント
- 障害者雇用枠で働く上で「障害の説明力」が無いと面接も入社後の活躍も厳しい…
- 面接で必要なのは「お化粧」!?
- 面接対策として障害内容を説明する練習をしよう!
- 障害者雇用の面接でよく聞かれる面接質問~面接官の意図まで理解しよう~
- 障害者雇用の面接対策~志望動機の作り方~
- 障害者雇用の面接対策~逆質問のポイント~
- 塾などに通って対策するのが合っている方は就労移行がオススメ!
なぜ障害者採用において面接をするのか
障害者雇用枠で民間企業や公務員試験を受ける場合、まずは書類選考があって、次に面接があることが多いですよね。
この流れって、どこの企業も同じような感じなので、あまり疑問に思わないと思うのですが、そもそも、なぜ障害者を採用する上で「面接」ってするんでしょうか。
障害者雇用の採用選考で面接するのは当たり前じゃないのか…?
という意見がほとんどかと思いますが、単発の派遣のお仕事とかでしたら、経歴情報だけで本人とは会わずに契約を決めて、お仕事をお願いすることもありますから、何かお仕事をお願いする際に面接は必須というわけではないんです。
これは、あくまで私の考えなんですが、面接というのは「お見合い」と一緒なんだと思います。
私自身はお見合いをしたことはないのですが、例えば、お見合いをして結婚を決める場合、相手の写真と経歴情報だけを見て結婚を決断できるでしょうか。
実はお金遣いの荒い人だったら心配…
暴力的な人かもしれない…
趣味大好きで家庭的じゃないかも…
などなど、直接会って本人に聞いてみないと不安なことって、たくさんありますよね。
つまり、お見合いや面接で相手と会う理由は
会って話してみないと消せない不安があるから
なんです。
企業の面接官が障害者本人と会って話をしてみないと消せない不安があるから、面接をして、その不安が消えるのか消えないのか確認するわけなんです。
とは言っても、本来は面接を受ける側である求職者の方が緊張して困っちゃうよね。
障害者採用の面接官(人事担当)も出世を気にする一人の人間
人事部で働いている社員というのは、保守的で慎重なタイプも多いです。
人事担当といえば、エリートコースの社員であることも多く、できれば仕事で失敗はしたくない。
だから、自分が障害者採用の面接選考で会った候補者で、不安や不明点が残っている方をそのまま通過させることは、まず無いです。
障害者採用の面接の流れというのは、1次面接より、2次面接の面接官の方が、役職が上のケースが多いので、1次面接を担当した人事担当からしたら、次の面接官である人事部長や部門長といった上層部に面接をお願いする上で、候補者である障害者に不安な点が残っていたら怖くて面接を通過させられません。
面接官も出世を気にする一人の人間ですからね…
障害者採用の面接官が抱く不安とは?
では、どうすればいいんでしょうか。
面接では面接官の不安を無くすことが大切だと分かったけど…
でも、面接官が何に不安を抱いているか、頭の中は分からないじゃないか…?
と思いますよね。
確かにおっしゃる通りで、面接官が候補者に対して、どんなことに不安を抱いているかは分かりません。
ただ、私の経験上、障害者雇用枠で面接選考する面接官が抱く不安に大体の傾向はあります。
例えば、下記の6点です。
障害者採用で面接対策すべき項目6点
①就業意欲があるか
②障害に対する理解があるか
③攻撃性がないか
④体調管理が出来ているか
⑤家族のフォローがあるか
⑥配慮事項が重たくないか
一つずつ解説していきますね。
①就業意欲があるか
これは、そもそも就業意欲がなければ、仕事が続かないからです。
せっかく、業務を教えても、長期的に業務に取り組んでもらえなければ、また新たに障害者雇用枠で採用してゼロから教育しなければならなくなります。
でも、就業意欲が高くない方だと、入社後にストレスに感じることがあると簡単に辞めてしまいます。
生活費を稼ぎたい
一緒に働く仲間が欲しい
自立した人間になりたい
などなど『自分が働くことで得たいもの』をきちんと説明できる方でないと入社後の長期就業が不安視されてしまいます。
②障害に対する理解があるか
障害に対する理解がなく、障害者雇用枠での面接選考の際に
配慮は必要ありません
大丈夫です!
と答えてしまう障害者に障害者採用の面接官は不安を抱きます。
なぜなら、本当に配慮が必要ないなら、障害を開示して障害者雇用枠で働く必要は無いからです。
障害を開示して必要な配慮を受けるために障害者雇用枠で就職活動をしているにも関わらず、「配慮は必要ありません」と答えてしまうと、「ではなぜ障害者雇用枠で就業を希望しているのか?もしかしたら自分に必要な配慮内容を理解できていないのでは?」と思われてしまうからです。
自身の障害に対する「症状」「症状に対する自助努力」「必要な配慮事項」について、障害者採用の面接官に説明することが出来れば、障害に対する自己理解の深さを伝えることができ、面接官の不安感を払拭することにつながります。
③攻撃性がないか
これも非常に大切なポイントです。
仕事というのは、当然ミスをすれば注意を受けます。
うまくいかずに指導されることもあります。
どんな人でも、これまでに1回も注意されたことがないなんて人は、まず居ないと思います。
ただ、障害者の中には、指導や注意を相手からの攻撃だとしか捉えることが出来ず、少しでも注意を受けると感情的になって反論される方がいます。
これでは、ミスの改善など仕事上の注意をしようにも聞く耳を持ってくれないので、成長していただくことが難しいです。
また、同僚とも少しのことで衝突してしまうことも多く、トラブルが絶えません。
人事担当は社員同士のトラブル、パワハラ、セクハラ等で日々悩んでいる方も多いので、攻撃性の高いと思われる方への抵抗感が非常に高いです。
少しでも攻撃性を感じる部分があると、公務員試験であれ、民間企業の面接選考であれ、面接通過は厳しいです。
④体調管理が出来ているか
これは、入社後に障害者社員に体調不良で会社を休まれてしまうと、どんなに優秀な障害者でも仕事はできませんから、求人票に書かれた勤務時間を全うできる方かどうかを判断するためです。
また、人事部としては良い方だと判断して採用した障害者が入社後間もなく休みがちになり、最終的に退職されてしまった(あるいは、休職してしまった)という苦い経験を少なからず持っているからなんです。
だからこそ
先日、体調不良で退職された〇〇さんのようなことはないよな…
と不安に思い、候補者である障害者に体調管理が出来ているかどうかを確認したくなるのです。
この「体調管理が出来ているか」を確認する上で「ストレス要因」に関する質問は必須です。
ストレス要因について説明準備しておくこと
(1)どんな場面でストレスを感じるのか
(2)なぜストレスに感じるのか
(3)心と体にどんな影響があるのか
(4)ストレス要因に対してどう対処しているのか
(5)職場に求める配慮は何か
上記の通り、ストレス要因に関する質問は高確率で聞かれますので、必ず準備して回答できるように準備しておきましょう。
また、ストレス要因の影響を受けて体調不良になった場合、「どれくらい短期間で回復できるか」も大切なポイントです。
ストレスを受けて体調を崩してしまっても、リフレッシュしたり睡眠を取ったりして回復して、翌日の業務に支障がなければ問題はありません。
一方で、「一度体調を崩すと1週間は寝込んでしまう」という状況でしたら、いくら対処策として「睡眠をしっかり取れば大丈夫です」と答えても、それだけ長い期間が必要となれば、「効果的な対処策ではない」「まだ体調管理が万全ではない」と判断されてしまいます。
⑤家族のフォローがあるか
これは、採用する障害者の方が何かストレスを抱えた時に、障害者が通院している主治医以外にも相談できる存在が居た方が安定就業につながると考えているからです。
また、企業によっては障害者本人の家族関係の良好さを判断するために確認するケースもあります。
ご家族は障害に関して理解がありますか?困った時に相談出来ますか?障害者手帳の取得についてご存じですか?
残念ながら、障害者の家族の中には当事者家族であるにも関わらず、障害者本人の障害に理解がなく
発達障害?そんなものは甘えだ!
と障害者本人を受け入れられない親がいるからです。
そうなると、家族が支えになるどころか、ストレス要因として障害者本人を苦しめることになりますから、就職して慣れない環境で働かなければならない障害者の状況を考えた時、リスクが大きいと判断されてしまいます。
⑥配慮事項が重たくないか
受け入れる企業にとって障害者社員の配慮が重たすぎると採用を躊躇されることがあります。
例えば
障害特性によりケアレスミスが多いため、毎回ダブルチェックをお願いします。
と配慮をお願いされた場合、受け入れる配属部署の社員からすると
自分の仕事をしながら、毎回毎回ダブルチェックするとなるとしんどいなぁ…
と思うのが自然です。
障害者を受け入れることで、既存社員の業務に予想以上の負担があると思うと採用に及び腰になってしまいます。
そのため、自分で出来る対策を増やして、出来るだけ職場にお願いする配慮を減らしていく姿勢を持つことは、障害者枠で活躍する上で非常に重要なポイントだと考えています。
以上6点を障害者採用における面接官が不安に思う項目として挙げさせていただきました。
障害者採用の面接の場合、質問を待っていたらダメ?
つまり、面接とは
障害者雇用の面接対策のポイントとは
①面接時間という制限時間内に
②面接官が持っている「不安」を「安心」に変えること
上記2点を達成する勝負と言えるでしょう。
ゲームで例えるならば、「制限時間内に敵のHPを減らすイメージ」で、面接時間内に面接官の不安ゲージを削る感じだな。
障害者雇用枠での面接選考の際に不安を煽るような発言をしてしまうと、せっかく削った不安ゲージが増えてしまうので、「不安を削りながら、不安を募らせないように会話を行うゲーム」と言ってもよいかもしれません。
よし。じゃあ、障害者採用の面接では面接官に聞かれたことをきちんと答えて不安を消せるようにしよう!
と思われたかもしれませんが、ここが障害者雇用の面接対策の難しさです。
実は、障害者雇用の面接選考はまだまだ発展途上で、面接に慣れていない面接官が大多数です。
ですので、障害者に対して不安なことがあっても
障害者雇用枠の面接とはいえ、こんなことを聞いたら障害者の方に失礼なのでは?
と思ってしまい、本当は不安で聞きたいことなのに聞けないことが多いんです。
障害者雇用枠での面接の注意点
①不安なことを質問出来ないということは、当然、面接官の中に不安は残る
②不安が残ると、次の役職者に「大丈夫です」と言えないから、結局落としてしまう
※その障害者に魅力的な点があったとしても、不安要素や不明点が残ったままだと落としてしまうことがあるんです
では、どうすればいいのでしょうか?
障害者雇用枠の面接官が質問出来ないのであれば、こちらから話してしまえばいいんです。
私は家族と同居していて、関係は良好です。何かあれば、母親に相談しています。
私は協調性を大切にしていて、通所している就労移行支援事業所でも、一度もケンカなどのトラブルはありません。
こういった形で、こちらから障害者採用の面接官が不安に思っているであろう情報に対し、積極的に開示してしまうのです。
自分の攻撃性について不安に思っているかも?
と思えば、「攻撃性はなく、指導は素直に受け止められる」ことを説明できるエピソードを話せばいいんです。
障害者雇用の面接官も障害者本人に面と向かって
あなたがうちの会社に入社して他のメンバーとケンカしても困るので、攻撃性がないか教えてもらえないか?
とは、なかなか聞けません。
障害者雇用の面接選考に慣れた面接官であれば、上手に自分が確認したいことを質問できますが、障害者雇用に携わった経験が浅い面接官ですと、変に気を遣ってしまって、きちんと確認すべき内容を確認できません。
これでは、せっかく良い会社に巡り合えて、障害者雇用枠で実際に入社したら活躍できたかもしれないのに、障害者雇用の面接で時間内に不安を消すことが出来ずにお見送りという事態になりかねません。
自分の経歴を今一度見直して、障害者雇用の面接官だったら、どんなことに不安を抱きそうか考えてみてください。
可能なら、就労移行支援事業所の支援員に経歴書を確認してもらって
経歴書を読んで不安に感じた箇所はありますか?
と意見を聞いてみるのも効果的だと思います。
書類選考の通過率をアップさせる上でも「障害者雇用の面接官が経歴書を見た時に感じる不安」について洗い出し、面接時には障害者雇用の面接官の不安を消せるようなトークを準備しておきましょう。
障害者雇用枠の面接で「配慮事項はありません」と答えると見送りになります
障害者の方々が就職する場合
と呼びます。
個人的には、障害について開示した上で適切な配慮を受けて働くこと(オープン)をお勧めしたいと考えております。
ただ、障害者雇用枠で障害を「オープン」にした上で働くことを選んだ方でも、いざ障害者雇用枠の面接の場になると
特に配慮いただくことはありません
と答えてしまうケースがあります。
自分は障害者だが、特に配慮事項はないと思うので何とか採用してほしい
という思いなのかもしれません。
あるいは、障害を開示して障害者雇用枠の面接を受けた際に見送りになってしまい
正直に障害について話をしたから落ちてしまったのでは…
と思い、あまり問題がないように見せたいという思いもあるのかもしれません。
障害者雇用枠の面接は「障害理解の高さ」がポイント
障害者雇用の面接では障害者本人の自己理解の高さを重視します。
障害に対する自己理解とは
障害者雇用枠の面接対策のポイント
①自分の障害名は何か
②障害の症状は何か
③症状を緩和するための自助努力は何をしているか
④自助努力だけでは難しい、企業側に配慮を依頼したい内容は何か
これらの事項について、きちんと答えることができる人が
障害について自己理解がある
と判断されます。
例えば
①私はうつ病です
②対人対応のストレスに弱く、初対面だと不安で緊張してしまい、戸惑ってしまいます
③服薬管理を徹底しており、不安が強い時には、頓服薬を飲むなど対応しています
④高圧的な言い方だと、不安が強くなり、体調も崩れますので、穏やかな口調で指示いただきたいです
こういった内容を面接できちんと面接官に対し、説明できることが出来るかが、面接の合否に大きく影響を与えます。
逆に上記のような内容をきちんと説明できずに
私はうつ病ですが、特に配慮いただくことはありません
と答えてしまっては、面接官から
では、なぜ障害者雇用枠で障害を開示して働くのだろう。本当に配慮事項は必要ないのか。もしかしたら自己理解が足りないだけで、採用後に問題が発生するのでは?
と懸念を持たれてしまいます。
ただ、障害者雇用の場面で障害者本人が「問題ない」と言っているのに、面接官の方から
でも、何か問題があるんじゃないですか?
と聞くことも躊躇されるため、結局、不安が払拭されず、面接官としては不安要素を感じる方を合格にすることは出来ないので、結局「見送り」という結果になってしまうのです。
障害者雇用枠で働く上で「障害の説明力」が無いと面接も入社後の活躍も厳しい…
面接の場で、自分の障害の症状や自助努力、配慮事項について説明できないままでは、面接官から安心感を持って合格という判断をいただくことも難しいですし、障害者雇用枠で何社受けても見送りという厳しい結果が続き、いつしか自信も無くなり障害者求人に応募する意欲そのものが損なわれてしまう恐れがあります。
配慮事項について説明できないまま、たとえ障害者求人の面接選考に合格したとしても、自身の障害に対する症状や配慮事項をきちんと伝えることが出来ていないので、入社後に適切な配慮を受けることが出来ず、結果的に就業後の活躍や定着が難しくなり、早期離職のリスクもあります。
では、どうすればよいのでしょうか。
冒頭でもお伝えしました通り、下記4点についてきちんと説明できるように準備しておくことが大切です。
障害者求人で準備すべき説明事項
①自分の障害名は何か
②障害の症状は何か
③症状を緩和するための自助努力は何をしているか
④自助努力だけでは難しい、企業側に配慮を依頼したい内容は何か
上記②~④、障害の「症状」「自助努力」「配慮事項」についてですが、少なくとも3点ずつは説明できるようにしておいた方が良いです。
症状が1点しかないと言われると
症状が少なすぎる。本当はいろいろあるにも関わらず、自己理解が足りていないのでは?
と懸念される恐れがあります。
でも
そうは言っても、私の障害の症状としては1点しかないのです…
と思われる方もいらっしゃると思います。
そんな時は、実際の就業の場面で考えてみてください。
障害者雇用の配慮事項を考えるヒント
①業務に取り組む上で、障害の症状で困ることはありませんか?
②就業後の体調管理を行う上で、障害の症状で困ることはありませんか?
③職場の上司や同僚とコミュニケーションを取る上で、障害の症状で困ることはありませんか?
これらの3つの場面で1つずつでも、症状について配慮してもらいたい事項が出てこれば、合計で3点以上挙げることが出来ますよね。
これまでの就業状況を振り返って思い出したり、就業経験がない方でも企業での実習経験があれば、その時に困ったことなど振り返って書き出してみてください。
障害者雇用枠での面接の場でうまく説明できる自信がなければ、経歴書に記載しておいて、
経歴書にも記載して触れていますが…
と経歴書を見ながら説明することも出来ると思います。
その方が落ち着いて説明できるなら、経歴書を見ながら説明しても問題ありません
大切なことは「自分には障害がある」という自己認知があることをきちんと伝えることができること。
その証明として、障害名、症状、自助努力、配慮事項について説明できること。
これからは
「自分は特に配慮事項はありません」
と伝えるのではなく
「私は〇〇障害です。症状は…」
と伝えられるようにしていただければと考えております。
面接で必要なのは「お化粧」!?
ここまで自身の障害についてきちんと説明できることが大切だとお伝えしてきましたが、一方で、なんでもかんでも率直に面接で説明すれば良いかと言うと、そういうわけでもありません。
むしろ、面接で自身の障害について、ありのままを説明し過ぎてしまい、見送りになってしまうことも多いんです。
長年、障害者求人に応募する障害者の方の面接対策に携わる中で感じるのは、ありのまま率直に語ってしまう方が多いということです…
障害発覚前に業務上でミスを連発してメチャクチャ怒られた…
上司のパワハラで揉めて辞めた…
体調不良になると眠れないし、ひどい状態になってしまう…
やっぱり正直に説明しておいた方がいいかなと思って…
面接官が話しやすい人だったから、いろいろ素直に話してしまって…
気持ちはすごく分かるのですが、それでは面接に落ちてしまいます。
なぜなら、ありのままの自分をそのまま語ってしまうのは、ビジネスの場でお化粧をしないでスッピンでのぞむようなものだからです。
商談の場に「ありのままの自分で参加しないと失礼だよな」と思って身だしなみも整えずに参加することはビジネスの場にふさわしい行動でしょうか?
違いますよね…
相手と気持ちの良いコミュニケーションを取るために必要な身だしなみがあり、それらを整えてからのぞむのがビジネスマナーだと思います。
面接は自分の「労働力」をアピールして売るビジネスの場面
嘘はいけませんが、相手を不安にさせるような表現を使ったり、懸念点をベラベラと話すビジネスマンでは商談を成立させることは出来ません。
自身の労働力を発揮する上で障害の影響は大きくないということを分かりやすく説明することが重要なんです。
「過集中になりやすくて、小休憩を取らないと体調を崩してしまうんです…」
という言い方と
「適宜小休憩を取ることで、過集中にならずに業務に取り組むことが出来ます」
という言い方は、どちらも
「過集中という特性に対して、小休憩を取るという対処策を持っている」
という説明です。
でも、前者の言い方だと、なんか体調を崩して業務に支障が出てきそうですよね?
前者は相手からの見られ方を意識していない「スッピン」の言い方です。
そうではなく、後者のように相手から悪く見られず、好印象を残せる「ナチュラルメイク」を目指してほしいのです。
もちろん
過集中になることはありません。休憩すら必要ありません。
というのは嘘ですし、「厚化粧」のようなものです。
入社後に慣れない環境の中、厚化粧がはがれてボロが出てしまい、困ってしまうのは自分自身です。
これはダメですね…
目指すのは「ナチュラルメイク」
厚化粧でもなく、スッピンでもない、自身の良さを引き立たすようなナチュラルメイクのテクニックを身に付けることが障害者雇用の面接対策の肝となると言って過言ではありません。
でも、実際にこれまで化粧をしたことがない男性が初めて化粧に挑戦したら、なかなか上手にお化粧ができないのと同じで、障害説明のナチュラルメイクには事前練習が必須です。
面接対策として障害内容を説明する練習をしよう!
そんな時に面接の練習相手として頼りになるのが「障害者転職エージェントのキャリアアドバイザー」や「就労移行支援の職員」です。
自分の障害に関する説明を第三者の視点で聞いてもらってください。
そして、自分の説明が厚化粧になっていないか、逆にスッピンになっていないか、丁度良い塩梅の表現方法になるようアドバイスしてもらってください!
キャリアアドバイザーや支援機関の職員は、面接に合格して内定を取得するために一緒になって対策に付き合ってくれる存在ですので、ぜひ上手に頼ってみてくださいね。
障害者転職エージェントに登録するなら…
障がい者の就・転職ならサポート実績業界No.1のアットジーピー【atGP】 身体障がい・内部障がいの方ための転職エージェント【Agent-Sana】就労移行支援に通所するなら…
【LITALICOワークス】 【atGPジョブトレ】障害者雇用の面接でよく聞かれる面接質問~面接官の意図まで理解しよう~
障害者雇用の面接官経験者の私から、障害者雇用枠の面接でよく聞かれる面接質問と、面接官の意図について解説します。面接官の意図まで理解しないと対策にならないので、要チェックですよ!
障害者雇用枠の面接でよく聞かれる面接質問
◎自己紹介
→本人の経験とスキルを簡単に確認したいので、最終学歴を卒業後、どのような経験とスキル(PCスキル含め)を身に付けたかを説明しましょう。
◎障害発症の経緯
→単純に発症の経緯を確認したいのではなく、当時の重い状態から、いかに現在の安定した状態に至ったかを知りたいので、「当時はひどくて…」という説明ではなく、いかに障害の症状を乗り越えてきたかを説明する必要があります。
◎現在の障害の症状
→自身の障害理解の高さを確認するための質問です。「障害によって何が難しいのか」を確認するとともに、「困難な症状に対して諦めることなく、前向きに自助努力に努めているか」を確認する意図があるので、症状と併せて、その対処策を説明できることが重要です。
◎障害の開示範囲と配慮内容
→自身の障害について、どんな方々に知っておいてもらえると安心かを確認する質問です。障害者雇用枠でのオープン就労の場合、基本業務上に関係するすべての人に障害を開示し、開示とセットで必要な配慮を求めることから、開示を制限したい意向を伝えると懸念される恐れがあります。
また、配慮内容が受入企業側として対応可能か、必定以上に重たい配慮内容でないかを確認する意図があるので、自助努力の範囲を広げて、企業側の配慮を軽減する姿勢が見られます。
◎ストレスを感じること、業務上苦手なこと
→ストレス要因を理解するための質問です。どんな場面で、どんな気持ちや症状になり、そして、そのストレス要因にどう立ち向かっているかを問われています。頓服や早退など、休息型の対処策だけでは懸念されますので、業務上の工夫や、運動習慣などストレスに負けない対処法を説明する必要があります。
◎体調を崩した時の対応方法
→体調を崩さない障害者は少ないので、かなりの確率で聞かれます。ポイントは体調を崩した際の対処法の内容だけでなく、「その対処法で、どれくらい短期間で回復できるか」を問われています。半日~1日程度で回復して職場に復帰できれば業務上の支障はありませんが、一度体調を崩すと1週間寝込むようなことでは懸念されます。
◎志望動機
→志望度の高さや就業意欲を確認するための質問ですが、ポイントはこちらにまとめました。ご参照ください。
◎最後に何か質問ありませんか
→いわゆる「逆質問」ですね。こちらもポイントはこちらにまとめました。ご参照ください。
障害者雇用の面接対策~志望動機の作り方~
障害者雇用の面接対策をする上で、「志望動機の作り方」って、困りますよね。
はじめて知った企業のことを調べて志望動機を作ろうとするけど、なんかキレイ事みたいな志望理由になってしまって、うまくいかない…
そんな声をよく聴きます。
ここでは、そんなみなさんのために志望動機の作り方について解説したいと思います。
そもそも、「志望動機」ってなんのことでしょうか。
その会社に入社したいと思った理由のことでしょ?
確かにそうですね。
でも、例えば、入社することを「結婚」で例えた場合
あなたの収入に惹かれましたので、結婚したいです!
あなたがブランド大学出身なので、結婚したいです!
とか言われてしまうと、確かに魅力に感じてくれたことはわかるけど、一方的で自分本位な印象になってしまいますよね。
でも
あなたとなら一緒に幸せな家庭を気付けると思ったからなんです
という言い方なら、自分だけではなく、双方の幸せを考えた感じになりそうですよね。
ただ、そのためには、双方の幸せにつながる何かを自分が持っているという根拠も必要になってきます。
ここで、あらためて考えていただきたいのは
入社するとは就職先に対して労働力の提供を約束するという契約
だということです。
労働者は、労働力を提供する代わりに、お給料や福利厚生などの待遇面を受け取るという契約が「就職する」ということです。
志望動機とは、自身の労働力を提供する相手として、その会社を選んだ理由を聞かれているとも考えられるわけです。
そう考えた時、できれば「自分の労働力を欲しがっている企業」「自分の労働力とマッチしている企業」に自分の労働力を提供したいですよね。
やっぱり、せっかく自分の労働力を提供するなら、喜んでもらえる企業を選びたいですもんね。
「プレゼント」で例えるなら、自分が高級チョコを手に入れた時、どうせなら甘いものが好きでチョコレートが大好きな人にプレゼントしたいと思うじゃないですか。
あえて、「甘いものが苦手でラーメンが大好きな人」に高級チョコをプレゼントしようとは思わないですよね。
プレゼント同様、志望動機を「労働力を贈る相手を選ぶ根拠」という視点で考えた時、「自分の労働力を提供して喜んでいただける企業だと考えたから」という理由が志望動機として立派に成り立つわけです。
「私ならあなたを幸せにできると思ったからなんです。なぜなら、私は〇〇を持っていて~」
こういうニュアンスの志望動機であれば、労働力を受け取る相手側の目線も入っているので、一方通行的な志望動機になりにくく、面接官としても受け取りやすい内容になります。
でも、企業側がどんな労働力を求めているか、よく分からないけど…
と思う方もいると思います。
そこで、必要なのが「企業研究」なんですね。
志望動機を作るためには個別の企業研究が必要!
企業側が求める労働力を見極めて
「御社であれば、自分がこれまでに培った経験を生かして貢献できると考えたからです」
この言葉を面接で伝えるために、その根拠を探すわけです。
では、何を見たらよいのでしょうか?
一番のヒントは、「求人票」です。
求人票には、会社側が求める労働力の中身のヒントが満載です
私は労働力を3つに分けて考えているのですが、下記の3つです。
労働力とは?
①業務スキル
②体調管理スキル
③コミュニケーションスキル
たとえば、求人票の「応募要件」「業務内容」といった項目。
この欄には、求人企業側が求めている労働力の中のひとつである「業務スキル」が書かれています。
応募要件として、パソコンのスキルが記載されていれば、当然パソコンが得意な方が求められています。
また、業務内容の欄に「データ入力、データ照合、電話応対」などのお仕事内容が記載されていれば、データ入力などの業務経験を積んできた方を求めていることが分かります。
次に「就業時間」「残業」「勤務地」の欄。
「就業時間9:00-18:00(繁忙期は残業あり)」といった記載があれば、フルタイムで働くことができ、忙しい時期には残業に対応できる体調管理スキル(体力)がある方を求めていることが分かります。
また、通勤時間(勤務地までの距離)からは、通勤負担も見えてきますので、実際の通勤に問題なく対応できる方かも大切なポイントとして見られます。
実際に通勤負担が思っていたより大きくて早期離職される方も一定数いるので、結構大切なポイントです
そして、企業概要からは社風やその組織で求められる人物像(コミュニケーションスキル)が分かります。
まだまだ設立間もないベンチャー企業だったり、時代の最先端を行く先進的な業界の企業であれば、挑戦的で積極的な人物を求めている可能性があります。
年齢問わず、自分の意見を発信できるようなコミュニケーションスキルが求められているかもしれません。
あるいは、老舗企業だったり、金融系など固めの業界であれば、ルールをきちんと守って上下関係をしっかり理解して真面目に働くことができる人物が求められているかもしれません。
他にも、企業HPの採用ページを確認して、どんな人物像が求められているかを確認して、相手企業の好みを理解するようにしてください。
そうすると、なんとなくですが、相手の企業が求めるコミュニケーションスキルが見えてきます。
ここまで研究が出来たら、次に行うことは、自分がその企業が求めている労働力を持っているかを洗い出します。
- 自身が持っている労働力を洗い出すポイント
- 業務スキルでいえば、データ入力の経験があるか。入力内容をチェックして正確に仕上げるような経験があるか。
体調管理スキルでいえば、フルタイム就業ができる体力作りが出来ているか。運動習慣や生活リズムを整えるなど、体調管理に問題ないことを説明できる根拠があるか。
コミュニケーションスキルでいえば、相手が求めるような人物像だと説明できるような対人関係のエピソードがあるか。積極性が求められるなら、自ら主体的に動いて成果につなげた経験。協調性が求められるなら、チーム一丸となって業務に取り組んだ経験など。
これらを整理することができれば、後はその内容をまとめて
このように答えていただければ
うちの企業研究もしっかりしてくれていて、しかも、実際に活躍するための経験・スキルも保有している…!
と思ってもらえて好印象です。
面接官の本音を言えば、志望動機で「御社の〇〇に惹かれて~」と言われても
それだけを期待されても困るし、入社してから期待外れに思われて、すぐに辞められても困るしなぁ…
と感じることも多いので、求職者目線の魅力を語るより、「自分は企業側にとって魅力的な労働力を保有していて、それを発揮して活躍できる職場だと考えた」と言ってもらえた方が面接官としても魅力的な志望動機として聞こえるわけです。
ぜひ、これらの考え方を参考に、面接を受ける企業に合わせた志望動機を組み立ててください!
数をこなすうちに求人票や企業HPから情報を入手し、自身の経験をつなげて志望動機を作ることが上手になりますよ。
障害者雇用の面接対策~逆質問のポイント~
最後に何か質問ありませんか?
と面接で聞かれた時、質問内容について、何を質問したらいいか気になりますよね。
面接時の候補者側からの質問、つまり「逆質問」の仕方についてポイントを解説しますね。
まずは、面接時の逆質問の意味について説明します。
面接で行う質問は、普段の雑談で交わされる質問とは意味合いが異なります
面接時間という限られた制限時間の中で、あえて選んだ質問
という意味として捉えられるので、面接官からは
この質問は、かなり関心の高い内容なんだな…
と思われます。
そのため
- 「年収」「残業」について質問すると…
- 「年収」への質問→待遇面が大事!(仕事を頑張るのは二の次なのかな?)
「残業」への質問→残業が気になる!(早く帰りたいタイプなのかな?)
上記のようにネガティブな意味に捉えられてしまうリスクがあります。
私がお勧めしたい質問内容は、「業務内容」「1日の流れ」等です。
- 「業務内容」「1日の流れ」について質問すると…
- 「業務内容」への質問→業務に高い関心!(業務に前向きに取り組みたい人かな!)
「1日の流れ」への質問→入社後の働き方に関心!(就業意欲が高い人かな!)
上記のように前向きに捉えてもらいやすいので安全ですよ。
面接時の逆質問から「聞く姿勢」もアピール!
また、「応用編」として面接官が喜んで説明できるような内容を質問するというのもお勧めしたいと思います。
例えば、障害者雇用に力を入れている企業担当者が面接官の場合、障害者雇用に関する方針や、マネジメントする上で大切にしている考え方を持っていることがあります。
そこで
御社が障害者雇用を推進する上で、大切にしていることは何でしょうか?
という質問をして、面接官が嬉々として説明し始めてくれたら
ありがとうございます。メモをお取りしてもよろしいでしょうか?
と一言聞いた上で、一生懸命に聞く姿勢を見せて、うなづきながらメモを取るわけです。
ここで、面接官が気持ちよく語りだしたら、こっちのものです。
面接官の話を一生懸命聞いてくれる候補者に対して面接官は好印象を持ちます
面接での逆質問は、内容も大切ですが、その逆質問をした後に一生懸命に面接官の話を聞いて、聞く姿勢もアピールするところまでがセットだと覚えておいてくださいね。
聞く姿勢まで意識して面接にのぞむことができれば、「話すこと」だけを意識しているライバル候補者に差をつけることができます。
ぜひ「逆質問→聞く姿勢もアピール」という視点を押さえておいてください。
こちらの記事の内容が障害者の方が障害者雇用枠での面接選考に通過し、職場で適切な配慮を受けながらイキイキと働いていただく一助になれば幸いです。
私はこれまでに〇〇という経験を通じて、△△を身に付けてきました。
御社のHPや求人票の記載内容を確認しまして、私の△△を生かして貢献できる職場だと考えました。
ご縁をいただければ、これまでの経験を生かして御社のお役に立ちたいと考えており、志望しています。