胃ろうと経鼻経管栄養のメリット、デメリットを考えた結果…
うちの娘(ゆづちゃん)は、重症心身障害児で胃ろうで食事を取っています。
現在は、朝、昼、晩の3食で、ミキサーにかけてペースト状にしたものをシリンジに入れて、胃ろうに通して流しています。
(それ以外にも、お薬や白湯を適宜、胃ろうから流してあげています)
結論から言うと、うちのゆづちゃんは、経鼻経管栄養から胃ろうに変えてから(栄養状態が良くなったのか)、風邪をひきにくくなり、身体は丈夫になったので、胃ろうに変えて良かったと感じています。
ゆづちゃんの場合、嚥下障害で口から食べることが出来ない為、経鼻経管栄養か胃ろうの二択しかないわけですが、その「経鼻経管栄養か胃ろうか」について、(「よっちゃんち」の場合ですが)メリット・デメリットを挙げたいと思います。
胃ろうと経鼻経管栄養のメリット、デメリットとは
【胃ろうのメリット】
・通常の食事をミキサー食にて取ることができる
(経管栄養剤で不足する栄養素も補填できる)
・胃ろうは服を着れば見た目は分からない
・(経鼻経管栄養と異なり親自身での)定期的なチューブ交換の負担がない
※胃ろうの入り口を蓋するボタンの交換は必要(往診の先生が対応してくれます)
【胃ろうのデメリット】
・胃ろう造設の手術が必要
・(手術で)身体に傷がつく
・身体がある程度の大きさに育たないと造設できない
【経鼻経管栄養のメリット】
・(手術の必要はないので)身体に傷をつける必要がない
【経鼻経管栄養のデメリット】
・鼻からチューブを入れるので、のどに常に違和感がある
・鼻からチューブが出ているので、見た目があまり良くない
・チューブを頬に固定するテープで肌が被れる
・1日分のカロリーを経管栄養剤で摂取する場合、大量になる為、長時間に渡って流す必要があり、夜中に起きて調整するなど、(看護する親が)なかなか熟睡できない
・経管栄養剤だけでは、足りない栄養成分もある(らしい)
・鼻から入れているチューブを定期的に親自ら交換しなければならない
・胃までの鼻からのチューブは看護している親が自ら交換する必要があるが、誤って肺の方に注入してしまう恐れがあって怖い
上記に挙げたものが、うちの場合の胃ろうと経鼻経管栄養のメリット・デメリットになります。
冒頭にお伝えした通り、現在は胃ろうからの食事方法に落ち着いていますが、ここまで来るにあたり、大変な苦労がありました。
未熟児で生まれ、NICUに母乳を届ける日々
娘が未熟児で生まれて、そのままNICUに入院していた時は、鼻からチューブを腸まで入れて、母乳を経管栄養として流していました。
鼻からチューブを入れたり、胃ろうを作って栄養を与えることを「経管栄養」といいますが、鼻の穴から胃にチューブを通す場合を「経鼻経管栄養」といいます。
母乳を経管栄養で与えていましたが、母乳というのは赤ちゃんが吸って飲んでくれる刺激で出るようになるため、飲んでもらえず、なんとか母乳を絞ってパックに入れる過程が本当に辛かったです。
日々、自分で母乳を絞って、パックに入れて、冷凍して保存して、NICUに届ける日々でした。
NICUに入院している間に娘は重い嚥下障害があることが分かり、食べ物を飲み込むことが出来なかったため(唾液も飲み込めない)、その後もずっと口から食事は取れずに、経管栄養を続けることになりました。
母乳から経管栄養剤へ
次に、胃に入れていたチューブを腸まで延ばす必要が生じ、経管栄養剤という液体状のものを与えるように変わりました。
ただ、一気に必要な量の経管栄養剤を鼻からチューブで流し込むわけにはいきませんので、「経管栄養ポンプ」という機械で、24時間持続注入することになりました。
この経管栄養ポンプという機械が一定の割合で経管栄養剤を少しずつ腸まで流し込んでくれるわけです。
ゆづちゃんの場合、吐き戻しの恐れがあったので、胃ではなく、腸までチューブを入れていました。
点滴がポタポタと少しずつ流れていくようなイメージですね。
とはいっても、いきなり全量の経管栄養剤をセットするわけではなく、1回あたり、4時間持続注入とか6時間持続注入とか、流す時間が決まっており、1日3食の朝・昼・夜のタイミングというわけでもありませんので、時間を細かく設定して、その時間毎に経管栄養剤をセットして与えていました。
わたしたちが寝ている夜中の時間も少しずつ経管栄養剤を流す必要がありますので、就寝の準備をしたら、経管栄養剤をセットして、自分たちも眠りに就く、という日々を過ごしました。
通常、4時間くらい毎に経管栄養剤をセットするようなタイミングで与えていたのですが、そうすると、わたしたち親の睡眠時間も最大で4時間しか取れませんので、主治医の先生と相談の上、寝る前の経管栄養剤だけは、6時間くらいまとめて流していくことにして、睡眠時間を確保するようにしました。
例えば、24時に経管栄養剤をセットして、朝の6時まで寝て、起きたらすぐに次をセットします。
そうこうしているうちに、娘の成長に合わせて、多少多めの経管栄養剤を一度に流せるようになり、経管栄養ポンプから、手動で持続注入する器具に代わり、少し多めの量を何回かに分けて、経管栄養剤を流す日々に変わりました。
たまに、経管栄養剤が上手に流れておらず、夜中に起きて調整するなど、なかなか熟睡できない日々が続きました。
そして、その後も、消化のことも考えながら、少しずつ経管栄養剤を流す時間を早めていったり、娘の成長や体調面を考えながら、調整していきました。
経管栄養剤に粉ミルクを加えたら、娘の容体が…
経管栄養剤というのは、吸収が良いように既に消化されたような状態のものですので、胃や腸に負担がない一方、本来の胃の働きを促すことが出来ないのではと心配していました。
そこで、経管栄養剤と併せて、粉ミルクも混ぜることで、胃の消化機能にも影響を与えることが出来るのではと思い、主治医に相談し、粉ミルクも与えることになりました。
主治医の先生は、どちらでも構わないような反応でしたが、母親である私の気持ちを汲んでくださいました。
ただ、粉ミルクを混ぜて与えたところ、娘の体調が悪くなり(パルスオキシメーターの酸素濃度の値が80台など悪い数値になり)、苦しそうな表情をするようになり、病院で調べていただいたところ、乳製品のアレルギーが分かり、そこからは、乳アレルギーがある子どもでも飲める粉ミルクに替えて与えることになりました。
そして、とうとう胃ろう設置へ…
そういった経緯を経て、娘の身体も大きくなり、胃ろう手術にも耐えられるという判断もあり、胃ろうに替えることになりました。
鼻からチューブを入れて経管栄養を流す場合、液体の経管栄養剤やミルクなど、液体に限られます。
こういったものは、通常の食事と同等の栄養成分が取れるように計算されているんですが、病院の看護師さんたちは、
でも、経管栄養剤より、通常の食事の方が、みなさん元気になられる印象があるんですよね。
と言われ、主治医の先生からも、ミキサー食を勧められたため、ミキサー食を進めることにしました。
実際問題、経管栄養剤だけでは、足りない栄養成分もあるらしく、胃ろうを設置し、ミキサー食への切り替えを決断しました。
ミキサー食などの流動食であれば、通常の食事をペースト状にして与えるので、わたしたちと同じものを食べることになります。
ただ、娘の場合、乳や卵のアレルギーがあったので、そういったものは除いています。
また、鼻からチューブを入れて経管栄養を流すのは、のどに常に違和感がありますし、見た目的にも良くありません。
しかも、毎週チューブを入れ替えたりする必要もあります。
栄養面でも、それ以外の理由でも、どこかのタイミングで胃ろうに替える必要があったのですが、そこに至るまでには、今、こうやって振り返っても、大変な苦労があったなぁと思います。
胃ろうに変えたことで娘に変化が…
そして、胃ろうにしてからは、娘にとって、良い傾向が表れました。
病院で血液検査をしても、栄養状態が良いと言われるようになりましたし、親としての実感としても、風邪などを引かなくなったように思います。
今は、朝、昼、晩の3食のミキサー食がメインとなっていますが、本当にここまで、長い道のりでした…。
寝る前に経管栄養のセットをしたり、チューブを洗浄したり、日々、栄養を与える事が本当に大変な日々でした。
今は、夕食後にお風呂に入れて、夜に白湯を流してあげたら、夜はそのまま寝てくれるので(たまに痙攣が起きて駆け付けることもありますが)、昔に比べると、平穏な日々ですね。
自分で言うのもなんですが、我ながら頑張ったなと言ってあげたいですね。